展覧会「沈みゆく船からの手紙」スペシャルトークイベント

当初8月25日までであった会期が9月17日まで延期となったことを受けて、トークイベントを企画しました。

登壇者
中條亜希子(やしまーる 館長デザインアーキビスト)
長田慶太(建築家 長田慶太建築要素)
ゆうさかな(デザイナー 物語を届けるしごと)※先約の予定終わり次第参加
木村拓実(建築家 オクタント建築都市研究所)
河西範幸(船の体育館再生の会 代表)

日時:2024年9月13日(金)20:30~22:00
トークの様子はYOUTUBEにて動画配信(アーカイブ視聴可能の予定)
 https://youtube.com/live/Pn1hZZM_eOA?feature=share

メインテーマ「船の体育館(旧香川県立体育館)から学ぶこと」として、5人が自由に語り合う特別な機会となる予定です。みなさま是非ご視聴よろしくお願いします。

沈みゆく船からの手紙

旧香川県立体育館 発見された設計図展


日時:2024年8月21日(水)~9月17日(火)
※当初8月25日までとあった会期は9月17日まで延長されました
開館時間10:00~20:00 (最終日は18:00まで)
トークイベント:2024年8月21日(水)18:00~19:50
入場無料

会場・アクセス
JR高松駅ビル北館「高松オルネ」4階アートギャラリー
(高松市浜ノ町1-20)
【鉄道】JR高松駅 改札出口より徒歩1分
【車】高松オルネ駐車場・150円/30分


「船の体育館」として呼ばれる旧香川県立体育館は、耐震改修工事の入札不調などを経て2023年に解体が決定されました。
解体 が決まった同年、体育館の設計に関わった構造設計者・岡本剛氏(1915~94年)の自宅から、設計当時の構造図の原図が新たに発見されました。
これまでは完成された一部の設計図しか存在が知られていませんでしたが、今回発見された原図により、完成に至るまでの試行錯誤の過程がより明確になってきました。
本展では、その図面と共に、2021年に存在が確認された室蘭工業大学所蔵の意匠図(出典:香川県立ミュージアム調査研究報告第13号)とあわせて、原図と同寸サイズの複製図を展示します。
戦後復興から世界に打って出ようという「挑戦の時代」であった高度経済成長期に、日本は世界最先端の技術をもって、建築文化を発展させていきました。その只中に設計された旧香川県立体育館の原図には、これまでにない建築物を創造しようという熱意の痕跡が刻まれています。
しかし竣工から60年後の現在、そのチャレンジングな建築の特殊さゆえに継続利用が不可能と判断され、ついに解体されようとしています。
解体を目前にしたタイミングで思いがけず届いた「沈みゆく船からの手紙」をぜひご一読ください。


関連イベント
■トークイベント
8/21(水) 18:00~19:50 会場 : 高松オルネ 4F 屋外広場
定員 : 40名 ( 先着順 ・ 参加無料 )

1部:基調講演 「近代建築 保存再生への道のり」
笠原一人
建築史家。京都工芸繊維大学准教授。京都モダン建築祭実行委員長。専攻は近代建築史、建築保存再生論。リビングヘリテージデザイン理事。著書に『ダッチ・リノベーション』『村野藤吾のリノベーション』『建築家 浦辺鎮太郎の仕事』『建築と都市の保存再生デザイン』『関西のモダニズム建築』。

2部:トークセッション 「旧香川県立体育館への返信」
笠原一人×清水隆宏(愛知工業大学准教授)×田中正史(東海大学准教授)×木村拓実(オクタント建築都市研究所)

■キュレーターズ・トーク
展示構成をしたキュレーターが、展示会場にて展覧会の見どころを解説します。
8/24(土)14:00~、16:00~
8/25(日)14:00~、16:00~

■船の体育館 紙模型をつくろうワークショップ
紙を切り出し、船の体育館の模型をつくります。
会期中 13:00~18:00(随時受付・参加無料)
講師 : 建築家 平野祐一


共催:一般社団法人船の体育館再生の会、愛知工業大学清水隆宏研究室、東海大学田中正史研究室

もうひとつの兄弟作、市村記念体育館の利活用計画について

佐賀にある市村記念体育館は、RICOHの創業者である市村清により佐賀県に寄贈された建物。香川県立体育館の建つ前年の1963年に佐賀県体育館として完成した。設計はフランスのル・コルビュジエの元で建築を学んだ坂倉準三によるもので、構造設計は香川県立体育館と同じ岡本剛(おかもとたけし)が努めた。外観は楕円をジグザグにしたような特徴的な外観をしているが、屋根は香川県立体育館と同じ吊り屋根構造で内部の空間はよく似ている。

開館から50年以上たち体育館としてフロアの面積が小さく競技会などの開催が難しくなってきたことから、スポーツ施設としての使用を終了する方針が示された。2019年に次世代を担う人材育成や文化芸術拠点として改装する方針であることが示された。これは2018年に行われた「肥前さが幕末維新博覧会」のメインパビリオンとして同建物が使われ、その志を引き継ぐ施設として、そして文化的な活動が出来る施設として生まれ変わらせるという内容である。

その後2021年に「市村記念体育館利活用設計業務委託」の公募型プロポーザルが行われ、設計者としてOpenA+石橋事務所JVが選定され文化芸術の創造活動拠点として2025年完成を目指して現在設計中である。佐賀県は概算事業費として35.5億円を国の補助金も利用し捻出する計画としている。

近隣にある図書館、こころざしのもりと連携することで、文化の体験・創造の役割を強化し、県民にとってわかりやすく使いやすい拠点を形成するとしている。

EDITORS SAGA より

香川県よりも人口が少なく経済規模の小さい佐賀県の市村記念体育館の利活用についての事例は、同規模同構造の船の体育館(香川県立体育館)の今後について議論を深める上で貴重な参考事例となると思う。

我々だけでなく香川県や船の体育館のことを思ってくれている人たちも、市村記念体育館の利活用について継続して学ぶことが大切である。そうすることで船の体育館の再生に道筋が見えてくれればと思う。

幻の船の体育館再生計画

香川県の取り壊しの方針という発表を受けて、幻の再生計画となってしまった、再生計画の提案書を公開いたします。

この計画は2021年10月に行われたサウンディング型市場調査に提出したものです。基本的には施設内の賃貸収益をベースに事業計画を組んでいます。詳細については下に貼り付けてある資料をご確認ください。また、ふるさと納税の活用など改修工事費負担を軽減させるアイデアも、ご提案差し上げましたが提出時のプレゼンのみで、その後の協議など全く無く今回の県側の発表となりました。

提案に際して2ヶ月間という短い期間で協力してくださった企業様、構造の専門家様、不動産のアドバイスをしてくれた方々には感謝しております。残念な結果となってしまい。本当に申し訳ございませんでした。

船の体育館再生計画提案書(PDFバージョン)

図面(概要図のみ低解像度)や工事内訳書も下記のリンク先からご覧になれます。

船の体育館再生計画設計図書

船の体育館再生計画概算見積(※252MB 81ページ)

Association for the Preservation of Kagawa Prefectural Gymnasium