遺跡のような建築

一社)香川県建築士会 平成27年度 設計競技
「香川県立体育館のリノベーションの可能性」
※当コンペはアイデアであり、現実に県立体育館が存続する事とは関係ありません。

”野外劇場への改修”
外観イメージ
改修内容
●吊り構造屋根の撤去
●アリーナ仕上、客席椅子などの撤去後、躯体に塗膜防水
●階段室に屋外出入口の建具設置
上記の改修により、香川県立体育館のアリーナ部分を野外劇場へ改修する提案を行います。外観の変更は少なく、外部空間はそのまま維持できます。屋根撤去そのものが耐震改修の一環でもあります。

野外劇場を一般開放すれば、立体的な都市公園として利用できます。また、利用の少なくなった用具庫を音楽スタジオに改修すれば、音楽施設として充実できます。

香川県立体育館は、そのまま放置され、仕上が風化し、躯体の素の表情があらわになり、遺跡のような状態になることで魅力が増すのではと思えるような、構造躯体の造形の強さがあります。現実に放置させるには、問題があると思いますが、野外劇場への改修には、遺跡になった状態をつくるようなイメージがあります。

遺跡との比較
野外劇場
野外劇場としては小規模なものとなりますが、仮設椅子使用で客席数を増やしたり、360°の観覧を行うなど、さまざまな仕様が想定できます。また、コンクリートの壁、スロープ、客席となる段、丸い窓、バルコニーなど、元々あるものと、素材の質感を残すことで、元来の空間を活かした野外劇場になると思います。

内観イメージ
古代ギリシャ遺跡のエビダウロスの円形劇場は保存状態が良く、現在も使用されています。勾配が急な客席が音を反射し、音響効果が良いと言われています。
香川県立体育館を野外劇場にした際も、周囲のコンクリート壁による音響効果が期待できるでしょう。

街のシンボルとして
ローマは古代の遺跡が街の中に点在し、現代の建築と古代遺跡が同居する街です。コロッセオも街の日常の中に異化作用を伴いながら存在しています。
香川県立体育館の存在感も似たところが感じられます。

都市公園として
敷地内の庭園の造詣を残しながらも、緑地面積を増やして、都市公園としての機能を充実させます。劇場としての利用頻度は高くないと思われますが、都市公園、近隣公園としての利用は重要だと思います。
配置兼屋根伏図
”外部は北東駐車場と池、最低限の遊歩道以外は全て緑化し公園としている、屋根を撤去するため上空からステージと観客席が見える”
断面図1
”3階部分が全て屋外となるため、下階へ水が侵入しないように防水処理などを行う。”
断面図2
”2階にある3階へ行く階段前に外部扉を設け、建物の内外を仕切っている。”


【香川県建築士会からのコメント】
思い切って大吊り屋根を取っ払い3階は屋外とし、自然環境との調和を計り、コンサート等のイベント開催を行える屋外ホールとする、又普段は公園の機能を持たせる等の提案が評価された。建物の仕上げ面は風化が進むにつれ、近未来には遺跡の如くなる。

「遺跡のような建築」への1件のフィードバック

  1. 東京ドームの様な空気圧により支える屋根に変更すれば重量も軽くエアコンも設置でき、換気等も管理しやすくなります

    現在は構造的に屋根の重みを利用して両端の構造を引っ張り上げているようにも考察できますので両端に少し耐震補強(ピラーの様な)が必要かもしれません

    現在バレーボールの公式高さが不足していることからドーム構造にすれば高さもカバー出来ると思います

    残すのならば体育館として残すのが一番で、ドーム方式は外観をほぼ残した状態で将来に渡り使用出来ます

    私は素人ですので、ドーム方式の費用がどれだけ掛るのか分かりません。

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